Takaharu Tezuka Workshop 2nd Day: Quick Report

手塚貴晴ワークショップ:二日目レポート

ワークショップ二日目:手塚氏のクリティックは18時より、風光館3Fフォーラムで行われた。各班は昨夜から早朝にかけて制作した作品を持ち集まった。参加者全員で机を囲みクリティック開始。気になったものを幾つかあげてみる。

 
R班 
建築家・五十嵐淳の作品『間の門』(2008)をリファレンスにそこで感じられる「緑」をプレゼンテーションした。模型による建築物の再現ではなく建築の引き起こす効果をセットアップし再現することに重点の置かれたものだ。これはボール紙で出来た直方体の箱であり、片側に顔を入れ片側の開口部の部分から光、そして葉の匂が流れ込む構造になっている。
 
手塚評
 この大きさで作ることによってわかることがある。例として精度的な問題によって角から差し込む光。これはなかなかいい、外に緑があることを感じさせる、この小さな要素だけで認識は変わる。あと素材の話、台を考えなくてはいけない。今みたいに板がいいのか、もしくは石がいいのか。それから壁の素材、今ボール紙で作っているけれど反響または吸音するものがいいのか。
 部屋一面にコーヒー豆を敷き詰めたインスタレーションを見たことがある。部屋のまんなかにカーテンがあり、遠くから眺めているとその中に何があるかわからない、近づいてカーテンをめくり中に入ると一面にコーヒー豆が敷き詰めてある。敷き詰めてあるから、じゃりじゃりと踏み込みながら歩いてゆくことになる。部屋にはコーヒーの香りと踏みしめる音が充満している。と、真ん中に一つ筒があって、それにとても小さな穴があいている、それを覗くと、中にコーヒー豆がたった一つだけある。ここでは要素がすべてリンクしている。
 それは建築ではないんだけど、そういうものを建築でやるならどのような意味があるか考えてみるべきである。これから先は匂、音、光どれをテーマにしてもいいだろう、ただロケーションがないことが問題。建築は場を占めるものなのだから。Christian Norberg-Schulz "Genius Loci"  を読むといい。


J班 
『実家の玄関と庭』は庭の一角が再現されたものである。手入れをしなくなった庭ののび放題になった植物から、種子が飛び、玄関にある鴨居で育っている様子が部分模型で再現されている。
 
手塚評
 これはいい、まずこの緑をめぐる状況の説明がよかった。こういう緑は日本では特別。僕は講演会をしにコロンビアのある町にいったことがある、その町はもともと銀の積み出しをしているところだった。昔はそこで大きな財をなした人が中庭のある大きな邸宅をたてていて、それはもともとはスペイン風の綺麗な建築物だった。けれど植民地時代から400年の時間を経た今、その邸宅にある中庭はジャングルのようになってしまった。ところがジャングルのある中庭はいまやその地方の文化になっている、それはスペインの様式とは違うものになった。時間の変化がそういうものをもたらしている。最初は何もないが、緑が育つというプロセスがそこではとても大きな意味を持っている。逆に言うとその緑がなくなるとその地域の家であることをやめてしまう。最初に作った建築家はそんなことは考えていない、この無意識がとても面白い。
 この作品もこの緑はなぜここにあるか、ということが重要。建物全部に覆われているよりもここであることがいい、玄関の上であることをもう少し考えてみるべき。これはたんなる一つの緑であるが、この建物と庭の時間を示しているともいえる。


C班 
dmvA Architecten 『Blob VB3』(2009)。模型は800×700ほどの長方形の台座にスチレンボード、紙粘土、採取した緑でつくられている。ごくごく小さな建築物であり、窓はなくブランクーシの彫刻が林の中に置かれているようにもみえる。用途はモバイルオフィス。
 
手塚評
 これはいいスタートだと思う、特に彼の言葉がよかった。「滞在する時間により外に出た時の緑の感じ方が変わるのではないか」と。1分、10分、1時間、多分全然違う。しかし、問題はこれをどうやってアートアクトではなく建築と呼ぶか。そのためにはあなた自身、君たちがそれぞれ緑を感じる瞬間を見つけなくてはいけない、建築を見つけなくてはいけない。そしてそれを皆に感じさせなくてはいけない。時間による緑の変化を。それにはある種のトリックが必要だろう。
 


主だったものを三つほど取り上げてみた。具体例を見つけ、そこから飛躍せず、それを引き起こしている構造を捉え、オリジナルな素材、方法で表現すること。そして、ロジカルかつ繊細であることが求められている。
 
講評は半分ほどで時間となり「乱暴になってはいけないよ」という言葉を残し、手塚氏は東京に帰られた。明日の13時からは後半である。※台風15号の影響で21日のチェックは延期になりました。


言及された参考資料

Ray Eames 『Powers of ten』(1968)
ノルべルク・シュルツ (Norberg-schulz)『ゲニウス・ロキ』(Genius Loci, Towards a Phenomenology of Architecture) (1979) 加藤邦男・田崎裕生訳 住まいの図書館出版局(絶版) 
Viollet-le-Duc(名のみ言及)



by Koki Yamanishi



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R班チェック


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J班チェック


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C班チェック